これからの1年、世界は「不安定な多極化」と「統制強化」の二つの流れに分岐していくと思います。アメリカは覇権の低下が止まらず、金融資本主義の延命にしがみつきながら、金利高止まりと財政赤字の拡大で信用不安を抱えるでしょう。ドル基軸は即座には崩れませんが、金・仮想通貨・資源などへの資金逃避は一層強まるはずです。株価はAIや軍需など一部セクターに資金が集中しつつも、全体では不安定な乱高下を繰り返すと見ます。
ヨーロッパはエネルギー依存や移民問題を抱え、政治的分裂が強まるでしょう。ウクライナ戦争は停戦も終結もなく「長期化」が既定路線であり、軍需・資源を巡る思惑が市場を動かし続けます。ロシアは制裁に耐え、むしろ拡大主義を続け、資源外交で影響力を維持します。
中国は不動産バブル崩壊と人口減少で経済は鈍化しますが、国家資本を集中させてAI、半導体、エネルギー、宇宙開発などの戦略産業に注ぎ込みます。人民元は国際化が進みませんが、BRICS圏や資源国との結びつきでドル依存を減らそうとするでしょう。中国発の不安は市場を時折大きく揺さぶるはずです。
日本は円安とインフレが続きます。日銀は金利を急激に上げられず、実質賃金は下がり、家計は苦しいままです。ただし外需関連や先端技術関連の株は買われ、輸出企業は利益を伸ばせます。防衛関連、半導体、AI・ロボット産業は国策として支援が強まり、株式市場では明確に「勝ち組」となるでしょう。一方で内需や中小企業は厳しく、格差拡大が進みます。
株価の見通しとしては、米国株は金利高止まりの影響で下落圧力が強まり、S&P500は調整局面に入ると見ます。ただしAI関連株はバブル的に資金を吸い続ける可能性があり、全体が落ちても一部は急騰を続けるでしょう。日本株は為替と外需に支えられて強さを保ち、日経平均はレンジで言えば3万2000円〜4万円の間を動くと予想します。世界的な景気後退の波が来ても、日本は相対的に「逃避先」として買われる場面があるでしょう。
投資対象としては、①金や銀などの貴金属、②AI・半導体・防衛関連株、③エネルギー資源関連(特に天然ガス、水素)を有望と考えます。逆に不動産、消費関連、金融株は逆風が強いでしょう。
まとめると、世界は依然として戦争と金融で延命する一年となり、景気循環よりも地政学リスクが市場を左右します。人類は監視・統制の強化の方向に進みますが、完全な一極支配には至らず、分断された世界の中で資本は逃避先を探し続ける。株価はセクターごとの二極化が進み、日本は相対的に「強い島」として残る。これが僕の来年の予測です。
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